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2021年7月9日

相場の見立て・展望(7月9日付)

情報のプロフェッショナル
藤井 英敏
国からの米ファイザー製ワクチン供給が不足しているため、一部の自治体で7月の新型コロナウイルスワクチンの接種の新規予約受け付けを停止・制限する動きが相次いでいます。菅義偉首相が掲げた「10~11月の接種完了」に向け、接種態勢を急拡大させた各自治体は梯子を外された形で、スケジュールの再調整に追われているとのことです。このようにワクチン接種をめぐり、混乱が発生しています。コロナ流行収束への「切り札」として、政府はワクチンの早期接種を重視してきました。それだけに、この接種を巡る混乱を、株式市場には悪材料と受け止めています。

また、新型コロナウイルスの感染拡大にも歯止めが掛からず、政府は7月8日、東京都を対象に新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言発令に追い込まれました。沖縄県への宣言と埼玉、千葉、神奈川、大阪の4府県で適用する「まん延防止等重点措置」は延長しました。いずれも8月22日までです。そして、7月23日に開幕する東京五輪の観客規模を巡り、大会組織委員会や東京都、国際オリンピック委員会(IOC)などは7月8日、5者協議を開催し、都内の全会場を無観客とすることを決めました。

ちなみに、野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミスト(元日銀審議委員)によれば、「東京都への宣言による経済損失は約9820億円、沖縄県は約450億円。合計1兆260億円程度となり、年間GDPの0.19%に相当する。無観客開催となる場合、チケット購入がなくなり、関連する消費支出が減少することで経済効果は、観客を全て受け入れる場合から1468億円分減少し、1兆6640億円になる。」そうです。つまり、「緊急事態宣言発令により、五輪経済効果の6割が相殺される。」ようです。

このような投資環境下、日経平均は非常に弱い動きを続けています。7月9日の日経平均は前日比177.61円安の27940.42円と、3日続落しました。5日移動平均線(9日現在28333.36円)、25移動平均線(同28805.92円)、75日移動平均線(同28939.75円)全て下回っています。

なお、主だったETFが7月上旬に決算日である分配金支払基準日を迎えました。今年は、7月8日と9日の2日間で、現物・先物合わせて約8300億円の売り需要が試算されていました。そして、それは通過しました。このため、7月12日以降の東京株式市場の需給は大幅に改善する見通しです。

7月9日の日経平均は一時27419.40円まで下落後、急速に下げ幅を縮小させました。終値は安値から521.02円も戻しました。私は一応ここまでの下げで、ワクチン絡みの混乱、緊急事態宣言の発令、東京五輪の都内の全会場の無観客化などの先ほど列挙した悪材料は織り込んだとみています。つまり、27419.40円が当面の底値になった可能性が高いと考えています。

なお、出所及び真偽のほどは不明ながら、9日後場、市場の一部で「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の買い観測」が囁かれていました。年金基金の売買動向を映すとされる信託銀行は日本株を、今年1月に4389.67億円、2月に6308.02億円、3月に1兆6125.37億円、そして、4月に1434.65億円売り越しました。つまり、余力は十分ありそうです。市場観測通り、年金資金が買いに動いてくるようならば、来週以降は、底堅さを評価した投資家の買いで日経平均も上がっていくことでしょう。

ちなみに、投資部門別売買状況は、東証が毎週第4営業日(通常は木曜日、祝日等非営業日がある場合はその分後ろ倒し) 午後3時に資料を掲載します。今週に関しては、買い観測が囁かれていたのが週末9日後場だったので、仮に市場観測通り信託銀行経由の買い手口が出ていたとしても、7月15日発表分の数字ではっきりと確認できないかもしれません。ですが、今後のデータで信託の買い越しが続いていることが確認できるようなら、日経平均は非常に強い動きを続けることになるはずです。

今後は、日本銀行やGPIFなどの公的マネー、いわゆる「クジラ」が株価を下支えし、多くの投資家らに恩恵をもたらす相場展開になるというのが、私のメインシナリオです。つまり、積極的な市場参加が大いに報われる可能性が高いとみているので、是非とも実現が期待される「サマーラリー」に上手に乗って、儲けてください!

情報のプロフェッショナル
藤井 英敏

カブ知恵代表取締役。
1989年早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、日興證券(現SMBC日興証券)に入社。前職のフィスコ(証券コード3807)では執行役員。フィスコを代表するマーケット・アナリストとして活躍。退職後に同社のIPOを経験。2005年にカブ知恵を設立。歯に衣着せぬ語り口が個人投資家に人気。雑誌「宝島/夕刊フジ/ZAIオンライン/トレマガ/あるじゃん/ダイヤモンドマネー/マネーポスト/日経ビジネス/エコノミストマネーザイ」をはじめ多方面に活躍中。

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