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2021年10月8日

相場の見立て・展望(10月8日付)

情報のプロフェッショナル
藤井 英敏
9月下旬以降、日経平均は波乱の展開となっています。10月6日の日経平均は前日比293.25円安の27528.87円と、大幅に8日続落しました。8日続落は2009年7月に9日続落して以来、約12年3カ月ぶりのことです。市場では、今回の急落を「岸田ショック」と呼んでいます。というのは、岸田文雄首相が10月4日、金融所得課税の見直しを検討する意向を示したことを、市場は特に嫌気したからです。金融所得への課税は一律で20%ですが、これを引き上げて税収を増やし、中間層や低所得者に配分することなどを検討するとのことです。

ただし、10月7日と8日、日経平均は2日続伸し、やや落ち着きを取り戻しました。8日の終値は前日比370.73円(1.34%)高の28048.94円と、4営業日ぶりに28000円台を回復しました。5日移動平均線(8日現在27904.60円)は上回りました。しかしながら、25日移動平均線(同29508.57円)、75日移動平均線(同28539.35円)、200日移動平均線(同28700.46円)全て下回っています。チャートは悪化した状況継続です。

日経平均が続伸した主因は、やはり、米国株が堅調だったことです。6日のNYダウは続伸し、前日比102.32ドル高の34416.99ドルでした。この日のダウは下落して始まり、午前中には下げ幅が一時450ドルを超えました。しかし、共和党上院トップのマコネル院内総務が債務上限を一時的に停止し、12月までの支出をカバーできる範囲内で債務拡大を認めることを提案したと午後に伝わったことで、急速に買われました。

翌7日のNYダウは3日続伸し、前日比337.95ドル高の34754.94ドルでした。民主党上院トップのシューマー院内総務は7日朝、「12月初めまで債務上限を暫定的に引き上げることで合意した」と述べ、同日中にも米議会上院で採決すると伝わりました。12月以降の予算執行には債務上限の引き上げが再び必要になるとはいえ、当面は連邦政府のデフォルトが回避されるとの安心感から株式が買われました。

ですが、原油先物が高値で推移しています。7日のWTI期近の11月物は前日比0.87ドル(1.1%)高の1バレル78.30ドルと、80ドル台が視野に入っています。6日にロシアのプーチン大統領が欧州向け天然ガスの供給増を示唆したと伝わり、原油高を招いていた天然ガス価格の高騰が一服しました。しかし、原油先物への売りが続いていません。このような状況下、7日の米10年物国債利回りは前日比0.05%高の1.57%で取引を終えました。一時は1.58%と3カ月半ぶりの高水準を付けました。

原油高は米国製造業にとってコスト負担の増加ですし、ガソリン高は米個人消費の押し下げ要因です。一方、長期金利の上昇は、米国のグロース株の売り要因です。米国株の押し下げ要因は山積しています。そして、日本時間8日夜には市場が注目する9月の米雇用統計の発表を控えています。内容次第では、今後の米国株式市場がボラタイルになる可能性があります。また、日本株については、米国株の動向に神経質になる展開が続くことがメインシナリオです。引き続き、調整色の強い相場の継続を想定して、リスク管理を厳格化した運用スタンスを堅持することをお勧めします。
情報のプロフェッショナル
藤井 英敏

カブ知恵代表取締役。
1989年早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、日興證券(現SMBC日興証券)に入社。前職のフィスコ(証券コード3807)では執行役員。フィスコを代表するマーケット・アナリストとして活躍。退職後に同社のIPOを経験。2005年にカブ知恵を設立。歯に衣着せぬ語り口が個人投資家に人気。雑誌「宝島/夕刊フジ/ZAIオンライン/トレマガ/あるじゃん/ダイヤモンドマネー/マネーポスト/日経ビジネス/エコノミストマネーザイ」をはじめ多方面に活躍中。

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