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2021年10月15日

相場の見立て・展望(10月15日付)

情報のプロフェッショナル
藤井 英敏
日経平均は10月6日の27293.62円で底打ちし、足元では順調なリバウンドを演じています。15日の終値は前日比517.70円(1.81%)高の29068.63円と、大幅に続伸し、9月30日の29452.66円以来、約2週間ぶりの高値となりました。前日の米国株高に加え、午後の東京外国為替市場で1ドル=114円台まで円安・ドル高の動きが加速したことで、円安メリットの輸出関連株に買いが入り、日経平均を押し上げました。テクニカル的には、25日移動平均線(15日現在29310.96円)は下回っているものの、5日移動平均線(同28497.73円)、75日移動平均線(同28523.04円)、200日移動平均線(同28744.25円)全て上回っています。前週末(10月8日)に比べて、チャートは劇的に改善しています。

日経平均が底打ちした主因は大きく3つです。まずは、米国の財務上限問題が短期的に解決したこと、次に、大型連休が明けの10月8日の上海株式相場が続伸したこと、そして、岸田文雄首相が金融所得課税の引き上げについて当面は見送る考えを示したことです。

具体的には、米国では、10月18日とされた政府資金が尽きる「Xデー」を乗り越える法案が10月7日、上院で可決しました。また、中国の不動産業界では、不動産大手の恒大集団(エバーグランデ)以外にもデフォルト懸念が高まる企業が増えているため、大型連休明けの上海総合指数が大幅に下落して取引を再開することが危惧されていました。しかしながら、国慶節(建国記念日)に伴う大型連休が明けた10月8日の上海総合指数の終値は前営業日の9月30日比23.9998ポイント(0.67%)高の3592.1666ポイントと、意外にも非常に強い動きでした。そして、国内では、岸田文雄首相が10月10日のフジテレビ番組「日曜報道 ザ・プライム」に出演し、自民党総裁選で掲げた金融所得課税の引き上げについて当面は見送る考えを示しました。首相はこの後、自民党本部で記者団に「まずは賃上げ税制、下請け対策。看護、介護、保育の公的価格を見直しから始めるべきだ」と強調したのです。

それはさておき、FRBが11月のFOMCでテーパリング開始を決定することは、市場は織り込み済みです。ですが、今後も資源・エネルギー価格に歯止めが掛からず、人件費も上昇し、一段のインフレ懸念が強まる可能性は低くはありません。このケースでは、米長期金利がさらに上昇し、高PERの米国のグロース株への売り圧力が強まることになります。ただし、米長期金利上昇は「円安・ドル高」要因であり、日本の輸出関連企業には追い風となる見通しです。

結論として、当面の組み入れ対象は、米国のハイテク株の株価動向の影響を受けやすい高PERのグロース株(ネット関連など)ではなく、資源・エネルギー関連株や、長期金利上昇がメリットになる銀行株、そして、円安がメリットになる輸出関連株にシフトしておいた方がよいでしょう。ちなみに、15日の東証マザーズ指数は前日比2.51%高の1126.27ポイントと大幅に続伸したとはいえ、松井証券の顧客が信用取引で買ったマザーズ銘柄の株式の含み損益を示す信用評価損益率は、追い証を迫られる水準のマイナス20%を、10月14日まで9日連続で下回っています。信用取引を行う個人投資家が新興株の取引で損失を膨らませているようです。このため、マザーズ銘柄に限らず、東証1部などでも、信用買い残が積み上がり、信用倍率の高い(信用需給の悪い)個人投資家好みの銘柄は避けましょう。
情報のプロフェッショナル
藤井 英敏

カブ知恵代表取締役。
1989年早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、日興證券(現SMBC日興証券)に入社。前職のフィスコ(証券コード3807)では執行役員。フィスコを代表するマーケット・アナリストとして活躍。退職後に同社のIPOを経験。2005年にカブ知恵を設立。歯に衣着せぬ語り口が個人投資家に人気。雑誌「宝島/夕刊フジ/ZAIオンライン/トレマガ/あるじゃん/ダイヤモンドマネー/マネーポスト/日経ビジネス/エコノミストマネーザイ」をはじめ多方面に活躍中。

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