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2021年11月26日

相場の見立て・展望(11月26日付)

情報のプロフェッショナル
藤井 英敏
前回の当コラムでも、「日経平均が200日移動平均線、75日移動平均線両線を上回っている間は、日本株に対して「強気」で臨み続けるべきでしょう。」としました。ですが、11月26日、前日比747.66円(2.53%)安の28751.62円と、大幅に反落しました。10月29日以来およそ1カ月ぶりに終値で29000円大台を割り込みました。下げ幅は6月21日以来約5カ月ぶりの大きさで、今年4番目でした。 日本時間早朝に南アフリカで新型コロナウイルスの変異ウイルスが検出されたと伝わったため、リスオフムードが強まり、売りが売りを呼ぶ展開となりました。また、米MSCIが11月30日に構成銘柄の入れ替えを実施します。日本株は13銘柄の純減で資金流出が見込まれています。これも警戒材料として意識されたようです。

26日の大幅安で、日経平均は75日移動平均線(26日現在28966.40円)、200日移動平均線(同28947.43円)両線をあっさり下回ってしまいました。今後は、75日移動平均線と200日移動平均線両線を上回るまでは、慎重な運用スタンスで相場に臨むべきでしょう。

ところで、市場の関心は、「米長期金利の上昇」と「原油価格高騰を主因とするインフレ懸念」に集まっています。バイデン米大統領は11月22日、FRB議長にパウエル現議長を再任する方針を決め、パウエル氏よりも「ハト派寄り」とされるブレイナード理事の議長指名が見送られたため、金融政策の正常化が遅れるとの期待が萎み、23日の米10年物国債利回りは前日比0.04%高の1.66%で取引を終えました。一時、1.68%と1カ月ぶりの高水準を付ける場面がありました。翌24日の10年物国債利回りは1.63%に低下したものの、これは、25日の感謝祭の祝日を前に持ち高調整の債券買いが優勢となった需給要因とみられています。

一方、原油価格の高騰を受けて、バイデン米政権は11月23日に石油の戦略備蓄を英国やインド、韓国、日本、中国などと共同で放出すると発表しました。過去最大の規模となる戦略石油備蓄の放出です。しかしながら、足元の需給逼迫を解消するには放出規模が不十分との見方が多いようです。ちなみに、12月2日に、「OPECプラス」の会合が予定されています。「OPECプラス」は2020年の大規模な減産から生産量を回復させるため今夏からは毎月日量40万バレルずつ増産する方針に転じました。しかしながら、今回の米国主導の備蓄放出を受けて増産を一時的に休止する可能性が指摘されています。

このように、「OPECプラス」が大幅な減産縮小に踏み切る可能性は非常低く、むしろ増産停止の可能性もあるため、米国主導の備蓄放出で、原油先物価格を長期的に押し下げることは難しいでしょう。よって、世界的なインフレはもう暫く続くとみておく必要があり、米長期金利の上昇も暫く続きそうです。もちろん、緩やかで、コントロール可能なインフレなら、インフレヘッジ手段である株式には買い需要が見込めますので、現在の状況ならば、過度にインフレに怯える必要はないと考えは不変です。

今後の物色に関しては、インフレが業績の追い風となり、低PERでチャートが良好(できればパーフェクトオーダー)な銘柄に絞りましょう。逆に、米長期金利の上昇の悪影響を考慮して、高PERの所謂「ハイパーグロース株」は避けましょう。ちなみに、例年12月はIPOラッシュです。だから、チャートの崩れた「ハイパーグロース株」は特に危険です。なぜならば、年末恒例の節税売り、諦めの見切り売り、そして、12月IPO銘柄購入のための換金売りを浴び易いとみているからです。
情報のプロフェッショナル
藤井 英敏

カブ知恵代表取締役。
1989年早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業後、日興證券(現SMBC日興証券)に入社。前職のフィスコ(証券コード3807)では執行役員。フィスコを代表するマーケット・アナリストとして活躍。退職後に同社のIPOを経験。2005年にカブ知恵を設立。歯に衣着せぬ語り口が個人投資家に人気。雑誌「宝島/夕刊フジ/ZAIオンライン/トレマガ/あるじゃん/ダイヤモンドマネー/マネーポスト/日経ビジネス/エコノミストマネーザイ」をはじめ多方面に活躍中。

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